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東京高等裁判所 平成3年(行ケ)28号 判決

第一 請求の原因一(特許庁における手続の経緯)、二(本願発明の要旨)及び三(審決の理由の要点)は、当事者間に争いがない。

第二 そこで、原告主張の審決取消事由の当否を検討する。

一 成立に争いない甲第二号証(特許願書及び添付の明細書と図面)及び第三号証(手続補正書)によれば、本願発明の技術的課題(目的)、構成及び作用効果が左記のように記載されていることが認められる(別紙図面A参照)。

1 技術的課題(目的)

本願発明は、冷凍用お好み焼の製造装置に関する(明細書第一頁第一二行及び第一三行)。

本願発明の技術的課題(目的)は、冷凍のお好み焼を、人手をほとんどかけずに能率よく、しかも製品ムラがなく均質に製造することができる、お好み焼の製造装置を創案することである(同第一頁第一九行ないし第二頁第二行)。

2 構成

本願発明は、右技術的課題(目的)を解決するために、その要旨とする特許請求の範囲記載の構成を採用したものである(手続補正書三枚目第二行ないし第一八行)。

別紙図面Aはその一実施例を示すものであつて、第1図は概略的正面図、第2図は側面図、第3図はお好み焼材料の充填状況の説明図、第4図はバケツトコンベヤの終端付近を示す概略的正面図、第5図は生姜自動供給装置の概略的斜視図である(明細書第一〇頁第一〇行ないし第一五行)。

なお、図において、4がお好み焼材料充填装置、32が生姜自動供給装置である(同第二頁第一〇行及び第一一行、第八頁第七行及び第八行)。

3 作用効果

本願発明によれば、人手をほとんどかけずに能率よく、しかも製品ムラがない均質な冷凍のお好み焼を製造することができる(明細書第九頁末行ないし第一〇頁第三行)。

二 審決の相違点の判断について

1 引用例には、審決の理由の要点2摘示の技術内容が記載されていること、及び本願発明と引用例記載の発明との一致点が審決認定のとおりであることは、当事者間に争いがない。

原告は、相違点についての審決の判断を争い、まず相違点<1>について、本願発明の容器はお好み焼の形状に対応する形状を備えているのでお好み焼材料をお好み焼の形状に成形する作業が不要であるが、引用例記載の発明の容器Cは成形作用を有しない、と主張する。

しかしながら、成立に争いない甲第四号証によれば、引用例には「充填機24は液体或は半固体若しくはなかに一部固体を有する流動性材料を給配するために利用されることが意図されている。容器Cに給配される材料を全体的に分布するためモーター(中略)により振動される棒(中略)は容器の底に係合し、内部の材料を振動作用によつて一様に分布するように設けるのが有利である。」(第六欄第三四行ないし第四〇行)と記載されていることが認められる。このように、引用例記載の発明は流動性材料を容器の中に均等に収納することを企図しており、所望の形状の容器を採用すれば、流動性材料も所望の形状に成形されることは当然であるから、引用例記載の発明の容器Cは成形作用を有しないという原告の主張は失当である。

なお、原告は、本願発明はお好焼材料充填装置を備え、これが容器の形状とあいまつて所定量のお好み焼材料を確実かつ均等に充填できるという作用効果を奏すると主張するが、引用例記載の発明の包装機械も製品充填機24を備えていることは前記のとおりであり、この点において本願発明と引用例記載の発明の間には何ら差異がない。

2 原告は、相違点<2>について、本願発明はお好み焼材料充填装置の下流に生姜自動供給装置を配設するという複雑な構成を採用することによつて、容器に充填したお好み焼材料の表面に生姜を美しくふりかけることができるが、引用例には生姜自動供給装置に関する事項は全く開示されていない、と主張する。

しかしながら、前掲甲第四号証によれば、引用例には「第1図に示されているように、追加のブラケツト128´、129´はもし必要であれば追加の製品充填機を取付けるために設けられる。」(第六欄第一九行ないし第二一行)と記載されていることが認められ、引用例記載の発明も、容器に充填した流動性材料の上に第二の材料を追加的に充填することが可能な構成となつていることが明らかである。そして、お好み焼材料の上に生姜をふりかけることは極めて普通に行われていることにすぎない(この点は原告も争つていない。)から、相違点<2>に係る本願発明の構成は、当業者ならば容易に想到し得た事項というべきである。

3 原告は、相違点<3>について、本願発明はその要旨とする構成を採用することによつて解凍すれば直ちに調理することができる形状のお好み焼の大量生産及び低コスト化を実現したものであるが、引用例記載の発明が本願発明の奏する作用効果を奏することはあり得ない、と主張する。

しかしながら、前掲甲第四号証によれば、引用例記載の発明は一連の機能(すなわち、容器の給配、製品の給配、密封、容器間連結部の切断、密封容器の除去)を介して多数の容器を同時かつ連続的に処理するための自動包装装置の創案を技術的課題(目的)とするものであつて(第二欄第四行ないし第九行)、別紙図面Bでは、容器給配機22、製品充填機24、密封装置26、切断装置28が、単純化され信頼性のある態様でコンベヤ装置20の作動に完全に同期するように構成されているものと認められる(第三欄第三行ないし第七行、第一三欄第四〇行ないし第四四行)。したがつて、引用例記載の発明は、流動性材料から成る製品の大量生産及び低コスト化を実現し得るものと理解することができる。そして、本願発明が対象とするお好み焼材料は流動性材料の一種であるから、引用例記載の発明をお好み焼の製造装置に適用して本願発明が奏する作用効果と同等の作用効果を得ることは、当業者ならば何らの困難もなく想到し得た事項というべきである。したがつて、相違点<3>に関する原告の主張も失当である。

三 以上のとおり、相違点に関する審決の認定及び判断は正当であつて、審決には原告が主張するような誤りはない。

第三 よつて、審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求は理由がないからこれを棄却する。

〔編注1〕本願発明の要旨は左のとおりである。

お好み焼の形状に対応する形状を備えた容器にお好み焼き材料を収容して、冷凍用お好み焼きを製造する装置であつて、

お好み焼き材料を収容する容器を移送するバケツトが無端環状に連結されて成るバケツトコンベヤと、

前記バケツトコンベヤに順次容器を供給する容器自動供給装置と、

お好み焼材料を、バケツトコンベヤで移送される容器内に充填するお好み焼材料充填装置と、

前記お好み焼材料充填装置において、容器に充填されたお好み焼材料の上に生姜をふりかける生姜自動供給装置と、

お好み焼材料が充填された容器に被覆材を重ね、容器の外周縁に沿つて該被覆材を接着するシール装置

とを設けたことを特徴とする、冷凍用お好み焼の製造装置(別紙図面A参照)

〔編注2〕本件における図面は左のとおりである。

別紙図面A

<省略>

<省略>

<省略>

別紙図面B

<省略>

(以下省略)

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